猫の記録ガイド
猫は不調を隠します。気づいたときには、いつからだったのか思い出せません。動物病院でまず聞かれるのは「いつからですか」です。毎日のトイレとごはんに軽くチェックを入れておくだけで、その質問に記録で答えられるようになります。
この記事の要点
猫の変化は、1日ぶんの記録では見えません。毎日おなじ項目にチェックを入れておくと、あとから並べたときに「いつもと違う日」が浮かびます。残すのはトイレ・ごはん・体重と、気になった日の一行メモで十分です。量は「少・普通・多」の3段階で構いません。なお「何回なら異常か」という基準は、このページでは示しません。判断は獣医師の役割で、記録はそのための材料です。
毎日そばにいる人ほど、ゆっくりした変化には気づけません。
猫は弱っているそぶりを見せにくい動物だと言われます。加えて、飼い主は毎日その姿を見ています。少しずつ進む変化は、毎日見ているからこそ基準がずれていき、「言われてみればそうかも」と思ったときには何週間も経っています。
そして動物病院に行くと、ほぼ必ずこう聞かれます。「いつからですか」「いつもと比べてどうですか」。ここで詰まってしまうのは、飼い主さんの記憶力の問題ではありません。比べる相手(いつもの状態)が記録として残っていないだけです。
「最近あまり食べてない気がして…
いつからかは、ちょっと…」
変化の始まりも幅も分からないため、まずは様子を見ることになりがちです。
「先月までは毎日2回食べていました。
9日から『少』が続いていて、体重も3.9kgから3.7kgです」
いつから・何が・どのくらい変わったかが一度に伝わります。判断の材料が増えます。
記録は、飼い主が診断をするためのものではありません。気づくきっかけを作り、獣医師に渡す材料を用意しておくためのものです。
全部を書こうとすると続きません。4つに絞るのがおすすめです。
記録は、続かなければ意味がありません。最初から細かく書こうとすると3日で終わります。猫の場合、まずはこの4つだけで十分に「いつもと違う日」が見えるようになります。
猫のトイレは、飼い主が毎日必ず目にする場所です。おしっこ・うんちのそれぞれについて、いつもどおりか、いつもより少ないか多いかを残します。掃除のついでにチェックを入れるだけで習慣になります。
食べた・食べないの二択ではなく「少・普通・多」の3段階で残すと、少しずつ減っていく変化が見えます。ふだんの量を「普通」と決めておけば、あとは比べるだけです。
月に1回でかまいません。猫は体が小さいぶん、数百グラムの増減でも意味を持ちます。測り方は体重管理ガイドにまとめています。
「押し入れから出てこなかった」「毛玉を吐いた」「水の器がいつもより早く空になった」。1行で十分です。あとから並べたとき、この一行が効きます。写真も残せます。
飲んだ水の量を毎日ミリリットルで量るのは、続ける前提に立つと現実的ではありません。まずは「器の減り方がいつもと違う」と感じた日にメモを残すところから始めて、必要になったらカスタムの項目として追加するほうが続きます。
記録が途切れる原因は、たいてい「項目が多すぎる」ことです。
朝のトイレ掃除のとき、夜のごはんのとき、というようにすでにある習慣にくっつけます。新しく時間を作ろうとすると続きません。
あとでまとめて書こうとすると、思い出せずに諦めます。トイレを片づけた瞬間、ごはんを下げた瞬間にチェックを入れるのが、いちばん楽で正確です。
毎日完璧に埋める必要はありません。1日抜けても、その前後が残っていれば変化の向きは読めます。完璧を目指すと、抜けた日をきっかけにやめてしまいます。
記録の目的は、毎日を採点することではありません。あとから振り返ったときに比べられる状態を作っておくことです。
1日ぶんの記録は点です。並べてはじめて意味を持ちます。
記録がたまってくると、1日ずつ眺めていたときには見えなかったものが見えます。たとえば下の図のように、木曜だけ記録の数が落ちている。この「へこみ」に気づくために記録します。
「1日に何回なら正常か」は、このページでは示しません。 適切な回数も量も、猫の年齢・体格・食べているもの・持病・治療の状況によって大きく変わります。このページで扱っているのは、その子自身のいつもと比べるための記録のしかたであって、受診の基準ではありません。いつもと違う状態が続くときや、様子が気になるときは、自己判断せず、記録を持ってかかりつけの動物病院にご相談ください。
診察の時間は限られています。先に整理しておくと話が早く進みます。
記録があっても、その場で画面をさかのぼりながら話すと時間が足りません。行く前に、次の3つだけ頭の中でまとめておくと、短い診察時間を症状の話に使えます。
記録を見て、最初に「いつもと違う」が現れた日を決めます。はっきりしなければ「◯日ごろから」で構いません。記録があれば、この日付が推測ではなくなります。
変化の話は、比べる相手があってはじめて伝わります。「ふだんは1日2回」「先月は3.9kg」のように、変化前の状態をひとつ言えるようにしておきます。
一行メモが効くのはここです。「同じ時期に押し入れに入るようになった」「水の減りが早い」。関係なさそうに思えることも、獣医師にとっては材料になります。写真があれば見せられます。
通院そのものの記録(診察内容・処方薬・次回の予定)は通院・お薬の記録ガイドにまとめています。7歳を過ぎて記録する内容が変わってきたらシニア期のケア記録もあわせてどうぞ。
チェックを入れるだけで、ふりかえりの画面に集まります。
ごはん・トイレなどの項目が時間帯ごとに並びます。終わったものをタップするだけです。項目は設定から増やしたり減らしたりできます。
メモや日記に一行書いておきます。写真もいっしょに残せます。日付でひもづくので、あとからその日の記録と並べて見られます。
記録した日・1日平均・連続記録に加えて、日ごとの記録のグラフと、項目ごとの回数(ごはん14回、トイレ19回など)が期間で集計されます。体重の変化も同じ画面に並びます。
1日ずつ見ていると分からない「へこんだ日」が、日ごとの棒グラフの高さの差として見えます。項目ごとの回数が期間でまとまるので、「先週と比べてトイレが減っている」といった比較ができます。
記録は家族と共有されます。家族を招待していれば、誰が入力しても同じ猫の記録として集まります。ひとりで飼っている場合も、そのまま自分ひとりの記録として使えます。
猫の記録について、よく聞かれることをまとめました。
そんなことはありません。抜けた日があっても、その前後が残っていれば変化の向きは読めます。むしろ完璧を目指して途中でやめてしまうほうが、あとから困ります。続けられる範囲で構いません。
受診の基準はこのページでは示せません。適切な回数はその猫の年齢・体格・食べているもの・持病によって大きく異なるためです。いつもと違う状態が続くときや様子が気になるときは、自己判断せず、記録を持ってかかりつけの動物病院にご相談ください。判断は獣医師の役割で、記録はその材料になります。
毎日ミリリットルで量るのは続けるのが難しく、途中でやめてしまうと記録として使えません。まずは「器の減り方がいつもと違う」と感じた日にメモを残すところから始めるのがおすすめです。必要になったらカスタムの項目として追加できます。
ふだん食べている平均的な量を「普通」と決めて、それより少なければ「少」、多ければ「多」を選びます。グラム数で記録することもできますが、3段階のほうが続きやすく、変化を見る目的なら十分です。
成猫であれば月1回、シニア期(7歳ごろ〜)は2週に1回が目安です。毎日測る必要はありません。測り方は体重管理ガイドにまとめています。
見返せます。カレンダーで日付ごとに確認できるほか、ふりかえりの画面で期間を指定すると、日ごとの記録や項目ごとの回数がまとまった形で表示されます。
使えます。家族の招待は任意で、ひとりのまま記録として使っている方が多数です。あとから家族を招待することもできます。
無料で登録できるのは1匹です。2匹目以降はStandardプラン(年額3,000円・1か月あたり250円)で最大10匹まで登録でき、猫ごとに記録が分かれます。
ペットノートFamilyは、ごはん・トイレ・体重・通院をチェック1回で記録して、期間ごとのふりかえりまで自動でまとめるiPhone向けのアプリです。基本機能は無料で使えます。
App Storeで無料ダウンロードiPhone専用(iOS 15.0以降) / App Store評価 4.3(63件・2026年9月時点)
公式noteでも、ペットの健康や暮らしについて書いています。